ご自分のお茶のお茶碗《ちゃわん》にお銚子のお酒をついで、それから別の二つのお茶碗にもお酒を注いだ。
 そうして私たち三人は黙って飲んだ。
「みなさん、お強いのね」
 とおかみさんは、なぜだか、しんみりした口調で言った。
 がらがらと表の戸のあく音が聞えて、
「先生、持ってまいりました」
 という若い男の声がして、
「何せ、うちの社長ったら、がっちりしていますからね、二万円と言ってねばったのですが、やっと一万円」
「小切手か?」
 と上原さんのしゃがれた声。
「いいえ、現なまですが。すみません」
「まあ、いいや、受取りを書こう」
 ギロチン、ギロチン、シュルシュルシュ、の乾杯の歌が、そのあいだも一座に於《お》いて絶える事無くつづいている。
「直《なお》さんは?」
 と、おかみさんは真面目《まじめ》な顔をしてチエちゃんに尋ねる。私は、どきりとした。
「知らないわ。直さんの番人じゃあるまいし」
 と、チエちゃんは、うろたえて、顔を可憐《かれん》に赤くなさった。
「この頃、何か上原さんと、まずい事でもあったんじゃないの? いつも、必ず、一緒だったのに」
 とおかみさんは、落ちついて言う。
「ダ
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