いっそ乞食《こじき》になったほうがいい。姉さんこそ、これから、叔父さんによろしくおすがり申し上げるさ」
「私には、……」
涙が出た。
「私には、行くところがあるの」
「縁談? きまってるの?」
「いいえ」
「自活か? はたらく婦人。よせ、よせ」
「自活でもないの。私ね、革命家になるの」
「へえ?」
直治は、へんな顔をして私を見た。
その時、三宅先生の連れていらした附添いの看護婦さんが、私を呼びに来た。
「奥さまが、何かご用のようでございます」
いそいで病室に行って、お蒲団《ふとん》の傍に坐り、
「何?」
と顔を寄せてたずねた。
けれども、お母さまは、何か言いたげにして、黙っていらっしゃる。
「お水?」
とたずねた。
幽《かす》かに首を振る。お水でも無いらしかった。
しばらくして、小さいお声で、
「夢を見たの」
とおっしゃった。
「そう? どんな夢?」
「蛇《へび》の夢」
私は、ぎょっとした。
「お縁側の沓脱石《くつぬぎいし》の上に、赤い縞《しま》のある女の蛇が、いるでしょう。見てごらん」
私はからだの寒くなるような気持で、つと立ってお縁側に出て、ガラス戸越しに、
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