黄村先生言行録
太宰治
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)山椒魚《さんしょううお》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)私にも多少の責|在《あ》りと
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)※[#「虫+原」、第3水準1−91−60]
−−
(はじめに、黄村先生が山椒魚《さんしょううお》に凝《こ》って大損をした話をお知らせしましょう。逸事の多い人ですから、これからも時々、こうして御紹介したいと思います。三つ、四つと紹介をしているうちに、読者にも、黄村先生の人格の全貌《ぜんぼう》が自然とおわかりになるだろうと思われますから、先生に就いての抽象的な解説は、いまは避けたいと思います。)
黄村先生が、山椒魚なんて変なものに凝りはじめた事に就いては、私にも多少の責|在《あ》りとせざるを得ない。早春の或る日、黄村先生はれいのハンチング(ばかに派手な格子縞《こうしじま》のハンチングであるが、先生には少しも似合わない。私は見かねて、およしになったらどうですか、と失礼をもかえりみず言った事があるが、その時先生は、私も前からそう思ってい
次へ
全30ページ中1ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
太宰 治 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング