者、多忙の生活人に叱咤せらる。南方の強か、北方の強か。」とかいう先生の謎のような一言を考えると、また奇妙にくすぐったくなって来るのも事実である。ご存じであろうけれども、南方の強、北方の強、という言葉は、中庸第十章にも見えているようであるが、それとこれとの間に於いては別段、深い意味もないように、私には思われる。とにかく黄村先生は、ご自分で大いなる失敗を演じて、そうしてその失敗を私たちへの教訓の材料になさるお方のようでもある。



底本:「太宰治全集5」ちくま文庫、筑摩書房
   1989(昭和64)年1月31日第1刷発行
底本の親本:「筑摩全集類聚版太宰治全集」筑摩書房
   1975(昭和50)年6月〜1976(昭和51)年6月
入力:柴田卓治
校正:しず
2000年5月2日公開
2004年3月4日修正
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