空に、選挙権なんかもったいない。」
などと、口々に言って、ひどくはしゃいでいる。みんな無邪気な、いたずらっ児《こ》のように見えた。
「僕にやらせてくれませんか。」と僕は誰《だれ》よりも大きい声を出してそう言った。
一時、ひっそりしたが、すぐにまた騒ぎ出した。
「出しゃばるな、出しゃばるな。」
「ひばりは、妥協の使者か。」
「桜の間は緊張が足りないぞ。いまは日本が大事な時だぞ。」
「四等国に落ちたのも知らないで、べっぴんの顔を拝んでよだれを流しているんじゃねえか。」
「なんだい、出し抜けに、何をやらせてくれと言うんだい。」
「今晩、就寝の時間までに、」と僕は、背伸びして叫んだ。「お知らせしますから、もしその僕の処置がみなさんの気に入らなかったら、その時には、みなさんの提案にしたがいます。」
又ひっそりとなった。
3
「君は、僕たちの提案に反対なのか。」と、しばらくして、青大将という眼《め》つきの凄《すご》い三十男が僕に尋ねた。
「大賛成です。それに就いて僕に、とっても面白《おもしろ》い計画があるんです。それを、やらせて下さい。お願いします。」
みんな少し、気抜けがし
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