い。ここは、そちらの先生にでもまかせなさい。」
「ひばりに、ですか?」かっぽれは大いに不満の様子である。「失礼ながら、ひばりには荷が重すぎますぜ。お隣りの奴《やつ》らとは、前々からの行きがかりもあるんだ。今にはじまった事じゃねえのです。パイパンと言われて、黙って引っこんで居られるわけのものじゃないんだ。自由と束縛、というわけのものなんだ。自由と束縛、君子豹変《くんしひょうへん》ということにもなるんだ。あいつらには、キリストの精神がまるでわかってやしねえ。場合に依っては、おれの腕の立つところを見せてやらなくちゃいけねえのだ。ひばりには、無理ですぜ。」
「僕が行って来ます。」僕はベッドから降りて、するりとかっぽれの前を通り抜け、同時に、かっぽれから回覧板を取り上げて、部屋を出た。
「白鳥の間」では、「桜の間」の返事を待ちかねていた様子であった。僕がはいって行ったら、八人の塾生《じゅくせい》がみんなどやどやと寄って来て、
「どうだい、痛快な提案だろう?」
「桜の間の色男たちは弱ったろう。」
「まさか、裏切りやしないだろうな。」
「塾生みんな結束して、場長に孔雀の追放を要求するんだ。あんな孫悟
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