ったら、
「いや、そんなんじゃない。」とかっぽれは言下に否定して、「どだい、婦人参政権と口紅との間には、致命的な矛盾があるべきわけのものではないと思うんだ。あいつらは、ふだん女にもてねえもんだから、こんな時に、仕返しを仕様とたくらんでいるのに違いない。」と喝破《かっぱ》した。
2
そうして、それから、れいの一ばんいいところを言い出し、
「世に大勇と小勇あり、ですからね、あいつらは、小勇というわけのものなんだ。おれの事を、パイパンと言っていやがるんです。かねがね癪《しゃく》にさわっていたんだ。かっぽれという綽名だって、おれはあんまり好きじゃねえのだが、パイパンと言われちゃ、黙って居られねえ。」あらぬ事で激昂《げっこう》して、ベッドから降りて帯をしめ直し、「おれは、この回覧板をたたきかえして来る。自由思想は江戸時代からあるんだ。人間、智仁勇が忘れられないとはここのところだ。じゃ皆さん、私にまかせてくれますね。私はこれを叩《たた》きかえして来るつもりですからね。」顔色が変っている。
「待った、待った。」越後獅子はタオルで鼻の頭を拭《ふ》きながら言った。「あんたが行っちゃいけな
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