》ぎつけるため、泣いたのだ。私は、死ぬるとも、巧言令色《こうげんれいしょく》であらねばならぬ。鉄の原則。
 いま、読者と別れるに当り、この十八枚の小説に於いて十指にあまる自然の草木の名称を挙げながら、私、それらの姿態について、心にもなきふやけた描写を一行、否、一句だにしなかったことを、高い誇りを以って言い得る。さらば、行け!
「この水や、君の器《うつわ》にしたがうだろう。」



底本:「太宰治全集1」ちくま文庫、筑摩書房
   1988(昭和63)年8月30日第1刷発行
底本の親本:筑摩全集類聚版太宰治全集 筑摩書房
   1975(昭和50)年6月〜1976(昭和51)年6月
入力:柴田卓治
校正:鈴木伸吾
1999年8月1日公開
2004年3月4日修正
青空文庫作成ファイル:
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