ん+已」、119−中−22]れを歌ひ、或る時は惱めるものの自棄を誦する。併しながら其等はいづれも何等か我々のセンチメンタリズムに媚びてゐる。君の詩こそは自然のもつ健全にある。君の詩こそは創造者のもつ力にある。不斷、人間内奧のたましひ[#「たましひ」に傍点]のやしなひとなるものはまことに君の詩でなければならぬ。そしてそれは君の尊い人格の發現といふものだ。

 山村君
 君は此の詩集を人間におくるのだと言ふ。君の手は大きく且つ力強い。自由にまた大膽にその手をすべて人間の上に伸べたまへ。そして與へてやりたまへ。それは豫言者のみが獨り持つてゐる特權といふものだ。僕も亦君の詩によつてなぐさめられ勇氣づけられる一人であることを悦んでゐる。
 千九百十八年三月
[#地から5字上げ]京都にて
[#地から1字上げ]土田杏村



底本:「日本現代文學全集 54 千家元麿・山村暮鳥・佐藤惣之助・福士幸次郎・堀口大學集」講談社
   1966(昭和41)年8月19日発行
※副題の「跋」は、青空文庫登録時に付けたものです。
※「※[#「土へん+已」、119−中−22]」(おそらく「やぶ(れ)」と読む)は、「※
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