達のよろこびはどんなであらうぞ! それが目に見えるやうだ。
次に君について書いたのは「光陰」の「光りにあくがるる詩」の中である。
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「山村氏の詩は確固と掴んでゐるものをそのまゝに表現する。山村氏の詩には宗教家の崇高《けだか》い安定がある。其の態度は感覺の如何なる印象にも打ち勝つてすこしの動搖なく、すべてそれらを同化する。氏の詩からは豫言者のもつ愛情が湧いてでる。氏の世界は全宇宙的であつて自然の一草一石も氏と共通のいのちを持つて居る。氏の感情は世界の創造者のもつであらう感情へ向つてあこがれる。したがつて氏の詩は個人的性格の感情を嚴然として批判し得る普遍的絶對的のものを示してゐる。」
[#ここで字下げ終わり]
此の言葉は最早、君に對してあまりに沈套なそしてあまりに平俗な頌辭となつてしまつてゐる。今、君の詩に讃嘆を惜まぬものは到る所にみることが出來る。
三度此處に君の詩について何事かをのべようとしても、亦先きの言葉をくり返して君のその豐饒な天分を祝福するより外は無い。僕にとつては。
山村君
僕は哲學の一學徒だ。君とはまつたく
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