女と子供の研究が、二十世紀の今日この頃になって、婦人問題がどうの、児童問題がこうのと、むしょうに解決を急ぎ出し、実物教育なぞいうことが大分やかましくなってきた。西洋文明もこうなって見ると実は少々心細いて! 自慢じゃないが江戸ッ児にはその実物教育てのが三百年も前からちゃァんと決定されている、しかも俚謡になって――
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ちん(狆)わん(犬)ねこ(猫)ニャァ(啼き声)ちゅう(鼠)きんぎょ(金魚)に放しがめ(亀)うし(牛)モウ/\(啼き声)こまいぬ(高麗狗)にすゞ(鈴)ガラリン(鈴の鳴る音)かえる(蛙)が三つでみひょこ/\(三匹が動く態)はと(鳩)ポッポ(鳴き声)にたていし(立石)いしどうろ(石灯籠)こぞう(小僧)がこけ(転)ているかい(貝)つく(突)/\ほてい(布袋)のどぶつ(土仏)につんぼえびす(聾恵比寿)がん(雁)がさんば(三羽)にとりい(鳥居)におかめ(阿亀)にはんにゃ(般若)にヒュウドンチャン(笛と太鼓と鉦の名称をその音色で利かしたもの)てんじん(天神)さいぎょう(西行)にこもり(児守)にすもとり(角力取)ドッチョイ(取組んだ態を声喩したもの)わい/\てんのう(
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