がどんなものじゃやら見当がつくまい。……ここから一露里行ったところには、ルパーレフカという村がある。わしは毎日その村へ水をくみに、たるを背負って出かけるのだ。だがあの村じゃ一ぺんだって飼料《かいば》をくれたことがないな。それからまた別の方角には、エフィーモフカだのキスリャーコフカだのという村がある。このあとの方には教会というものがあってな、鐘がころんころんと鳴っておる。その先はスヴャト・トローイツコエ村、またその先はボゴヤーヴレンスクじゃ。ボゴヤーヴレンスクでは、行くたんびに乾草をくれるが、あすこの乾草は風味がよくない。だがほれ、ニコラーエフへ行くと――これはここから二十八露里もある町じゃがな、あすこの乾草はなかなかええし、それに燕麦《えんばく》の御馳走《ごちそう》も出るのじゃ。ただどうもあそこへ行くのがいやでならんというのは、あの町へ行くときは旦那を馬車に乗っけて行くのでな、馭者《ぎょしゃ》というものが旦那の言いつけでわしらを駆り立てるのじゃ。いやその馭者の振りおろすむちの痛いのなんのって……。まだそのほかに、アレクサンドロフカ、ベロジョールカなどいう村もあるし、ヘルソーンというのも
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