ある――これも町じゃ。……じゃがせっかくこうして話して聞かせても、お前がたにはさっぱりわけがわかるまいて!……世界というものはまずこうした物じゃ。それで全部とは行かぬにしても、まあま、とにかく大部分じゃよ。」
そう言って栗毛は口をつぐみましたが、下くちびるだけはまだもぐもぐと動いていて、まるで何かつぶやいているようでありました。それは寄る年波のせいだったのです。何しろもう十七歳でしたし、馬の十七といえば人間の七十七も同じことですから。
「せっかくの馬さんのお話ですが、私にはなんのことやらちんぷんかんぷんですわ。それにまた正直のところ、別にわかりたいとも思いませんの」とかたつむりが申しました、「私はごぼうさえあれば結構なんですが、ありがたいことにごぼうは充分ありますのよ。だってこれでもう四日もはっていますけど、まだ頂ける葉が尽きはいたしませんものね。このごぼうの向こうにはまたごぼうがはえていますわ。そのごぼうのうえには、きっとまたかたつむりがとまっているんでしょうよ。私の申しあげたいのはこれだけですわ。上へだって下へだって、はねることなんかいっさい無用ですわ――そんな事はみんな、くだら
前へ
次へ
全13ページ中9ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
ガールシン フセヴォロド・ミハイロヴィチ の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング