。それもお前さんなんかより働きは激しいくらいだ! それにお前さんは自分のために働くんだろう、でないまでも結局はお前さんの子孫のためだろう。ところがみんながみんな、そんな果報者じゃないんだぜ。……物はためしだ、まあお前さんもこの僕みたいに、お上《かみ》の御用で丸太ん棒を引きずって見るがいいや。こんな暑さの中でまで、精も根もつき果てるほど働いていながら、さてどこのどいつが僕をこうまでこき使うのやら、僕は自分でも知らないのさ。いくら働いてやったところで、ありがとう一つ言っちゃもらえないんだ。僕たち不仕合わせな働き蟻というものは、みんなこうして働いてるんだが、僕たちの暮らしがそれで少しでもよくなるかい? みんな背負って生まれた運命なのさ!……」
「くそ虫さん、あんたみたいに人生をみちゃ、あんまり無味乾燥というものですよ。だが蟻さんも、人生をあまり暗く考え過ぎますねえ」と、こおろぎが二人に反対しました、「そんなもんじゃありませんよ、くそ虫さん、僕はこうしてコロコロ啼《な》いたり、はね回ったりするのが大好きですが、それでいっこう平気ですよ! べつに気がとがめたりはしませんよ! それにまたあなたは、
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