き》親類共の態度《そぶり》が余程《よッほど》妙だった。「何だ、馬鹿|奴《め》! お先真暗で夢中に騒ぐ!」と、こうだ。何処を押せば其様《そん》な音《ね》が出る? ヤレ愛国だの、ソレ国難に殉ずるのという口の下から、如何《どう》して彼様《あん》な毒口《どくぐち》が云えた? あいらの眼で観ても、おれは即ち愛国家ではないか、国難に殉ずるのではないか? ではあるけれど、それはそうなれど、おれはソノ馬鹿だという。
 で、まず、キシニョーフへ出て来て背嚢《はいのう》やら何やらを背負《せおわ》されて、数千の戦友と倶《とも》に出征したが、その中でおれのように志願で行くものは四五人とあるかなし、大抵は皆成ろう事なら家《うち》に寝ていたい連中《れんじゅう》であるけれど、それでも善くしたもので、所謂《いわゆる》決死連の己達《おれたち》と同じように従軍して、山を超《こ》え川を踰《こ》え、いざ戦闘となっても負けずに能《よ》く戦う――いや更《もっ》と手際《てぎわ》が好いかも知れぬてな。尤も許しさえしたら、何も角《か》も抛《ほっ》て置いて※[#「勹<夕」、第3水準1−14−76]々《さっさ》と帰るかも知れぬが、兎も角も
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