アッタレーア・プリンケプス
ATTALEA PRINCEPS
ガルシン Vsevolod Mikhailvich Garshin
神西清訳

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)くもの網《い》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)一念の前に[#「一念の前に」に傍点]
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 とある大きな町に植物園があって、園内には、鉄骨とガラスづくりのとても大きな温室がありました。たいそう立派な温室で、すんなりとかっこうのいい渦巻形の円柱が列をなして建物の重みをささえ、その円柱には、枝葉模様をきざんだアーチが、かるがるともたれかかっておりました。そのアーチのあいだには、鉄のわくどりがさながらくもの網《い》のように一面に組みあげられて、それにガラスがはめこんでありました。とりわけ太陽が西に沈みかけて、赤々とした光を浴びせかけるとき、この温室はまたひとしおの美しさでありました。そのとき温室は一面にぱっと燃えたって、真紅の照りかえしがきらきらと五彩に映《は》えわたるありさまは、さながら細かにみがきをかけた大きな宝石を見るようでありました。
 透きとおった
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