ありませんでした。で、草木たちがてんでにおしゃべりをしている時、アッタレーアはいつも黙り込んで、空を慕っておりました。たといあの色あせた空の下でもいい、ちょいと表へ出てたたずむことができたらどんなにいいだろうと、そればかりを思っておりました。
「ねえ皆さん、どうでしょうね、もうじき水を掛けてもらえるんでしょうかしら?」と、水気の大好きなサゴ椰子《やし》が尋ねました、「あたくしもう、ほんとに今日は乾《ひ》あがってしまいそうですのよ。」
「いやあ、あんたの言われることには、ほとほと驚き入りますなあ、お隣りさん」と、太鼓腹のサボテンが申しました、「毎日あんなにどっさり水を掛けてもらっている癖に、それでもまだ不足だと言うんですかね? まあこの私をご覧なさい。私はほんのわずかの水分しかちょうだいしちゃいませんがね、でもご覧のとおりつやつやと、みずみずしておりますよ。」
「あたくしどもはあんまりつましい暮らしには慣れとりませんのでねえ」と、サゴ椰子は答えました、「あたくしどもはどこやらのサボテンさんみたいに、からからにかわいたみすぼらしい地面じゃ、育たないんでございますよ。あたくしどもは、かつがつ
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