云う者多からん、其時我れ彼等に告げて言わん、我れ嘗《かつ》て汝等を知らず、悪を為す者よ我を離れ去れと、是故に凡て我が此言を聴きて之を行う者は磐《いわ》の上に家を建し智人《かしこきひと》に譬えられん、雨降り、大水出で、風吹きて其家を撞《うち》たれども倒れざりき、そは磐をその基礎《いしずえ》と為したれば也、之に反し凡て我がこの言を聴きて之を行わざる者は砂の上に家を建し愚人《おろかなるひと》に譬えられん、雨降り大水出で、風吹きて其家に当りたれば終に倒れてその傾覆《たおれ》大なりき。
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と(七章二十一節以下)、実《まこと》に強き恐るべき言辞である、僅かに三十歳を越えたばかりの人の言辞として駭《おどろ》くの外はないのである、イエスは茲《ここ》に自己を人類の裁判人として提示し給うのである、万国は彼の前に召出《よびいだ》されて、善にもあれ悪にもあれ彼等が現世《このよ》に在りて為ししことに就て審判《さばか》るるのである、而して彼は悪人に対し大命を発して言い給うのである、「我れ嘗て汝等を知らず、悪を為す者よ我を離れ去れ」と、如何なる威権ぞ、彼は大工の子に非ずや、而かも彼は世の終末
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