拠らざるとに因るとのことである、而して磐は主イエス御自身である[#「磐は主イエス御自身である」に傍点]、彼[#「彼」は太字]に依頼《よりたの》み彼[#「彼」は太字]の聖言《みことば》に遵《したが》いて立ち、之に反《そむ》きて倒れるのである、人生の重大事とて之に勝る者はない、イエスを信ずる乎信ぜざる乎、彼の言辞に遵うか遵わざる乎、人の永遠の運命は此一事に由て定まるのである、而して能く此の事を知り給いしイエスは彼の伝道に於て真剣ならざるを得給わなかった、山上の垂訓は単に最高道徳の垂示ではない人の永遠の運命に関わる大警告である、天国の光輝《かがやき》と地獄の火とを背景として読むにあらざれば福音書の冒頭《はじめ》に掲げられたるイエスの此最初の説教《みおしえ》をすら能く解することが出来ないのである。
若しキリストが説かれし純道徳と称えらるる山上の垂訓が斯《かく》の如しであるならば其他は推して知るべしである、若し又人ありて馬太伝は猶太《ユダヤ》人に由て猶太人のために著されし書なるが故に自から猶太的思想を帯びて来世的ならざるを得ないと云うならば、異邦人に由て異邦人のために著わされし路加伝[#「路加
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