わい》なり」、是れ奨励である又教訓である、「天国は即ち其人の有なれば也」、是れ約束である、現世に於ける貧《ひん》は来世に於ける富《とみ》を以て報いらるべしとのことである。
 哀《かなし》む者は福《さいわい》なり、其故如何? 将《ま》さに現われんとする天国に於て其人は安慰《なぐさめ》を得べければ也とのことである。
 柔和なる者は福《さいわい》なり、其人はキリストが再び世に臨《きた》り給う時に彼と共に地を嗣ぐことを得べければ也とのことである、地も亦神の有《もの》である、是れ今日の如くに永久に神の敵に委《ゆだ》ねらるべき者ではない、神は其子を以て人類を審判《さば》き給う時に地を不信者の手より奪還《とりかえ》して之を己を愛する者に与え給うとの事である、絶大の慰安を伝うる言辞《ことば》である。
 饑渇《うえかわ》く如く義を慕う者は福《さいわい》なり、其故如何? 其人の饑渇は充分に癒さるべければ也とのことである、而して是れ現世《このよ》に於て在るべきことでない事は明である、義を慕う者は単に自己《おのれ》にのみ之を獲《え》んとするのではない、万人の斉《ひとし》く之に与からんことを欲するのである、義を
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