ネルソン伝に序す
内村鑑三

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)守護《まもり》の

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)此書|亦《ま》た

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#ここから3字下げ]
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天の命ありて英国始めて、
青海原より立し時、
其特職なればとて、
守護《まもり》の神はたゝへて曰く、
不烈巓《ブリテン》国よ波に覇たれ、
不烈巓人は奴隷ならじ。
[#ここで字下げ終わり]
 是れ英人の理想を謳ひしもの、而《しか》して提督ネルソンは最も善く此理想を代表せし人なり、彼はシヱクスピヤの如き宇宙的人物にあらず、彼にクロムウエルの如き深遠なる宗教的観念ありしを見ず、彼は忠実なる英国の子供にして彼の単一の目的は英国の利益と栄光とにありき、偉大なる彼は特別に英国人の専有物なり。
 然れども国民の声は神の声なり、国民の理想に循《したが》ひしものにして天理に反《そむ》きしものは甚だ稀なり、能《よ》く国民の志望を充たせし人は常に能く人類の幸福を増進せし人なり、ネルソンは英国民の理想に応《かな》ひて
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