世界進歩に偉業を呈せり、英国に忠実なりし彼は人類全躰の恩人なり。
 然れどもネルソンの勲績は主として英国海軍の発達にあり 而して彼は戦艦の改良、武器の進歩に於て之をなせしにあらずして、軍人の本分を知らしめし事に於て、即ち徳義的に、精神的に、英人の海軍的思想を振ひ起したり、陸にウエリングトン公あり、海に提督ネルソンありて『義務』の念は永久に英国軍人の脳裡に打ち込まれたり。
 今や軍国の時に際してネルソン伝は吾人の切望せし所、此書|亦《ま》た我国人目下の要求に応ぜしものと言はざるべからず。
  明治廿七年十一月[#地から2字上げ]京都に於て 内村鑑三



底本:「内村鑑三全集3 1894−1896」岩波書店
   1982(昭和57)年12月20日発行
底本の親本:戸川残花著「水師提督ネルソン伝」、署名(内村鑑三)
   1894(明治27)年12月8日発行
入力:ゆうき
校正:ちはる
2000年11月2日公開
2005年9月27日修正
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