《のぞ》まずして彼の子に臨みました、彼の長男をフレデリック・ダルガスといいました。彼は父の質《たち》を受けて善き植物学者でありました。彼は樅《もみ》の成長について大なる発見をなしました。
若きダルガスはいいました、大樅がある程度以上に成長しないのは小樅をいつまでも大樅のそばに生《はや》しておくからである。もしある時期に達して小樅を斫《き》り払ってしまうならば大樅は独《ひと》り土地を占領してその成長を続けるであろうと。しかして若きダルガスのこの言を実際に試《ため》してみましたところが実にそのとおりでありました。小樅はある程度まで大樅の成長を促《うなが》すの能力《ちから》を持っております。しかしその程度に達すればかえってこれを妨ぐるものである、との奇態《きたい》なる植物学上の事実が、ダルガス父子によって発見せられたのであります。しかもこの発見はデンマーク国の開発にとりては実に絶大なる発見でありました、これによってユトランドの荒地|挽回《ばんかい》の難問題は解釈されたのであります。これよりして各地に鬱蒼《うっそう》たる樅の林を見るにいたりました。一八六〇年においてはユトランドの山林はわずか
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