たのだが、それで決して彼等の恋愛は、ハッピーエンドを告げるのではなかった。
問題はむしろこれからなのである。
一九二九年夏、荒れ狂う暴圧のもとに、最初の*****が**停止に会い、関係者全部が検挙投獄されたことは、日本のプロレタリアートの****史上に特筆さるべき有名な重大事件であるが、丁度、彼等の結婚もその時期《とき》に当たっていた。
そして二人がある小路の奥に巣を作った四日目の朝、Eは同志との連絡をとりに出たきり帰って来なかった。後で、Eがある同志の家の附近で捕まったということを彼女は、知ったのだが、何にしてもEとゆう子が一緒に暮らしたのは、たった三日間だった。現在の下《もと》に繋がるる限り何時迄待てば解放される彼であるのか――誰にもそれは解らない。まだ処女の如く、若く美しい三日間の妻だった山内ゆう子は、その後どんな道に生きてゆくか? 或いは白髪の日まで夫を待つ妻であるだろうか?
これでひとまず山内ゆう子とEとの紹介を打ち切って置く。
革命後のソヴエット・ロシアに於いては、コロンタイの恋愛観等にも現れた乱婚生活が一時盛んであったということだが、それは今日ではもう、反動的な
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