んでしまう、それは此処にいるように養生が出来ないからだ……』
彼女達の抱え主はよくそんな事をいう。何という悲惨な事だろう。そしてそれは抱え主の優越感ばかりでなく実際のようだ。
然し彼女達がその奴隷の境遇から優しく鎖を解かれる時は、既に医者から楼主へ、死の宣告の下された時だ!
それからまた私は見た――
彼女達は白昼|睡《ねむ》っている、疲労と栄養不良との死面《デスマスク》を!
それから彼女達が何曜日かの朝、怪しげな美衣を纏って、不良な髪油と白粉との悪臭を放ちながら、白昼公然奇異な一群をなして、ぞろぞろと病院へ検診にやられる姿は、同性全体が担わなければならない耻かしめではないか。そして彼女達の生命は、この安価な惨めな取り扱いに日々腐乱し、鈍感にされてゆくばかりだ。
そして私達は母として自分達が一つの生命に払って来た、デリケイトな心づかいを顧みる時に、それをまた、彼女達の生命の上に移して考える時に、あの真空の電球を、赤ン坊の目の前で破裂さして見るような、きわどい衝動《ショック》を感じないではいられない。
母性というものは、貧しければ貧しいなりに、我が子の生命の為には惜しみなく心
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