《ばん》はきっと来《こ》い、瘤《こぶ》を返《かえ》してやるから。」
こういいながら、みんなあわててどこかへ消《き》えていきました。
おじいさんはその後《あと》で、そっと顔《かお》をなでてみました。そうすると、長年《ながねん》じゃまにしていた大きな瘤《こぶ》がきれいに無《な》くなって、後《あと》はふいて取《と》ったようにつるつるしていました。
「これは有《あ》り難《がた》い。ふしぎなこともあるものだ。」
おじいさんはうれしくってたまらないので、早《はや》くおばあさんに見《み》せてよろこばしてやろうと、首《くび》を振《ふ》り振《ふ》り、急《いそ》いでうちまで駆《か》けて帰《かえ》りました。
おばあさんは、おじいさんの瘤《こぶ》がきれいに取《と》れているので、びっくりして、
「おや、瘤《こぶ》をどこへやったのです。」
と聞《き》きました。おじいさんはこういうわけで、鬼《おに》がしち[#「しち」に傍点]に取《と》って行《い》ったのだといいました。おばあさんは、
「まあ、まあ。」
といって、目《め》をまるくしておりました。
二
さてこのお隣《となり》のうちにも、これは
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