さわるとこの話《はなし》ばかりしました。
「だれか灰《はい》の縄《なわ》をこしらえる者《もの》はないか。」
こういってさわぐばかりで、一向《いっこう》にいい考《かんが》えは出ませんでした。
お百姓《ひゃくしょう》はふと、「これはことによったらうちのおかあさんが知《し》っているかも知《し》れない。」と思《おも》いつきました。そこで、そっと穴倉《あなぐら》へ行って、おふれの出たことを詳《くわ》しく話《はな》しますと、おかあさんは笑《わら》って、
「まあ、それは何《なん》でもないことだよ。縄《なわ》によく塩《しお》をぬりつけて焼《や》けば、くずれないものだよ。」
といいました。
お百姓《ひゃくしょう》は、「なるほど、これだから年寄《としより》はばかにできない。」と心《こころ》の中で感心《かんしん》しました。そしてさっそくいわれたとおりにして、灰《はい》の縄《なわ》をこしらえて、殿様《とのさま》の御殿《ごてん》へ持《も》って行きました。殿様《とのさま》はびっくりして、御褒美《ごほうび》のお金《かね》をたんと下《くだ》さいました。
とても出来《でき》まいと思《おも》った灰《はい》の縄《
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