た国中《くにじゅう》の大さわぎになって、こんどこそうまく当《あ》てて、御褒美《ごほうび》にありつこうと思《おも》う者《もの》が、ぞろぞろ殿様《とのさま》の御殿《ごてん》へ、お隣《となり》の国《くに》から来《き》た二|匹《ひき》の牝馬《めうま》を見《み》に出かけました。ところがよほど見分《みわ》けにくい馬《うま》と見《み》えて、名高《なだか》いばくろうの名人《めいじん》でも、やはり首《くび》をかしげて考《かんが》え込《こ》むばかりでした。そこでお百姓《ひゃくしょう》はまた穴倉《あなぐら》へ行って、おかあさんに相談《そうだん》しますと、おかあさんはやはり笑《わら》って、
「それもむずかしいことではないよ。亡《な》くなったおじいさんに聞《き》いたことがある。親子《おやこ》の分《わ》からない馬《うま》は、二|匹《ひき》を放《はな》しておいて、間《あいだ》に草《くさ》を置《お》けばいい。するとすぐ草《くさ》にとりついて食《た》べるのは子供《こども》で、ゆるゆると子供《こども》に食《た》べさせておいたあとで、食《た》べ余《あま》しを食《た》べるのは母親《ははおや》だということだよ。」
 と教《おし
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