う聞《き》くと小踊《こおど》りをして、さっそく殿様《とのさま》の御殿《ごてん》へ行って、首尾《しゅび》よく玉《たま》の中へ絹糸《きぬいと》を通《とお》してお目にかけました。
殿様《とのさま》はびっくりして、こんどもお百姓《ひゃくしょう》にたくさん、御褒美《ごほうび》のお金《かね》を下《くだ》さいました。
お隣《となり》のお使《つか》いは絹糸《きぬいと》のりっぱに通《とお》った玉《たま》を返《かえ》してもらって、へいこうして逃《に》げていきました。その使《つか》いが帰《かえ》って来《く》ると、お隣《となり》の国《くに》の殿様《とのさま》も首《くび》をかしげて、
「信濃国《しなののくに》にはなかなか知恵者《ちえしゃ》があるな。これはうっかり攻《せ》められないぞ。」
と考《かんが》えていました。
こちらでも、さすがにこれで敵《てき》もあきらめて、もう来《こ》ないだろうと思《おも》っていました。
四
ところがしばらくすると、またお隣《となり》の国《くに》の殿様《とのさま》から、信濃国《しなののくに》へお使《つか》いが手紙《てがみ》を持《も》って来《き》ました。手紙《てが
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