》さんは、また小僧《こぞう》の方《ほう》を振《ふ》り返《かえ》ってみて、
「それ見《み》ろ、金仏《かなぶつ》さまはいくらたたいても、くわん、くわんというぞ。やはりきさまが食《た》べたにちがいない。」
すると小僧《こぞう》は困《こま》った顔《かお》をして、
「たたいたぐらいでは白状《はくじょう》しませんよ。釜《かま》うでにしておやんなさい。」
といいました。そこで大きなお釜《かま》にいっぱいお湯《ゆ》を沸《わ》かして、金仏《かなぶつ》さまをほうり込《こ》みました。すると間《ま》もなく、お湯《ゆう》[#ルビの「ゆう」はママ]がぐらぐらにたぎってきて、
「くった、くった、くった。」
といいました。
「そらごらんなさい、和尚《おしょう》さん。とうとう白状《はくじょう》しましたよ。」
と、小僧《こぞう》さんはとくいらしくいいました。
底本:「日本の諸国物語」講談社学術文庫、講談社
1983(昭和58)年4月10日第1刷発行
入力:鈴木厚司
校正:大久保ゆう
2003年8月2日作成
青空文庫作成ファイル:
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