って来ますといいました。魔法つかいが山をあけてやりますと、王女はお城へとんでかえりました。でも、旅なかまはどこまでもあとについていって、したたかむちでぶちました。王女は、あられがひどい、ひどいとこぼし、こぼし、一生けんめいにげて、やっと寝べやの窓から、なかへはいりました。旅なかまも、それなり宿のほうへとんでかえっていきますと、ヨハンネスは、まだねむったままでしたから、そっとつばさをぬいで、じぶんも床にはいりました。なにしろ、ずいぶんつかれていたでしょうからね。
 さて、あくる日まだくらいうちから、ヨハンネスは目をさましました。旅なかまもいっしょに起きて、じつにゆうべはふしぎで、お姫さまと、それからお姫さまのくつの夢をみたという話をして、だから、ためしに、お姫さま、あなたはごじぶんのくつ[#「くつ」に傍点]ことをおもって、それをきこうとなさるのでしょうといってごらん、といいました、これは、山で魔法つかいのいったことばを、そっくりきいていっているだけなのですが、そんなことはおくびにもださず、ただ、王女がじぶんのくつ[#「くつ」に傍点]のことをかんがえていやしないか、きいてみよとだけいったの
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