わ》を振《ふ》り上げて、打《う》ち殺《ころ》そうとしますと、雷《かみなり》は気《き》がついて、あわててお百姓《ひゃくしょう》を止《と》めました。
「まあ、そんな乱暴《らんぼう》なまねをしないで下《くだ》さい。つい雲《くも》を踏《ふ》みはずして落《お》ちてきただけで、何《なに》もあだをするのではありませんから、どうぞ勘弁《かんべん》して下《くだ》さい。」
こう雷《かみなり》はいって、手《て》を合《あ》わせました。お百姓《ひゃくしょう》は、
「雷《かみなり》、雷《かみなり》って、どんなにこわいものかと思《おも》ったら、一|度《ど》落《お》ちると、からきし、いくじのないものだ。」
と思《おも》って、
「じゃあかわいそうだから助《たす》けてやる。だがこんどから落《お》ちることはならないぞ。そのたんびにびっくりするからな。」
といって、許《ゆる》してやりました。
すると雷《かみなり》は大《たい》そうよろこんで、
「どうもありがとう。何《なに》かお礼《れい》をさし上《あ》げたいが、あいにく何《なに》も持《も》って来《き》ませんでした。何《なん》でもほしい物《もの》があったらいって下《くだ》
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