き》いているうちに気《き》の毒《どく》になって、どうしても門《もん》を開《あ》けてやらずにはいられないような気《き》がしました。それで自分《じぶん》が出て行って、門《もん》を開《あ》けてやって、
「よくいらっしゃいました。」
 といって、奥《おく》へ通《とお》しました。
 おばさんはうれしそうに入《はい》って来《き》て、久《ひさ》し振《ぶ》りのあいさつがすむと、
「さっき、ものいみで門《もん》をあけないといったが、あれはどういうわけなのだね。」
 と聞《き》きました。
 綱《つな》は鬼《おに》のことをくわしく話《はな》しました。おばさんはだんだんひざを乗《の》り出《だ》しながら聞《き》いていましたが、
「まあ、不思議《ふしぎ》なこともあるものだね。だがわたしの育《そだ》てた子がそんなえらい手柄《てがら》をしたかと思《おも》うと、わたしまでうれしいとおもうよ。ついでにその鬼《おに》の腕《うで》というのを見《み》たいものだね。」
 といいました。
 綱《つな》は気《き》の毒《どく》そうな顔《かお》をして、鬼《おに》のいい残《のこ》した言葉《ことば》があるので、今日《きょう》七日《なのか》の
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