て、みずうみのふちまでいきました。みずうみはほんとうにあかるくきれいにすみきっていて、風がやぶや木の枝をふいてうごかさなければ、そこにうつる影は、まるで、みずうみの底にかいてある絵のようにみえました。
 そこには一枚一枚の葉が、それはお日さまが上から照っているときでも、かげになっているときでも、おなじようにはっきりとうつって、すんでみえました。
 エリーザは水に顔をうつしてみて、びっくりしました。それは土色をしたみにくい顔でした。でも水で手をぬらして、目やひたいをこすりますと、まっ白なはだがまたかがやきだしました。そこで着物をぬいで、きれいな水のなかにはいっていきました。もうこのむすめよりうつくしい王さまのむすめは、この世界にふたりとはありませんでした。それから、また着物を着て、ながい髪の毛をもとのように編んでから、こんどはそこにふきだしている泉のところへいって、手のひらに水をうけてのみました。それからまた、どこへいくというあてもなしに、森のなかをさらに奥ぶかく、さまよいあるきました。エリーザはなつかしいおにいさまたちのことをかんがえました。けっしておみすてにならない神さまのことをおも
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