からまり合いながら、水の上にたれていました。
エリーザはおばあさんに「さようなら」をいうと、ながれについて、この川口が広い海へながれ出している所まで下っていきました。
大きなすばらしい海が、むすめの目のまえにあらわれました。けれどひとつの帆もそのおもてにみえてはいませんでした。いっそうの小舟もそのうえにうかんではいませんでした。どうしてそれからさきへすすみましょう。王女は、浜のうえに、数しらずころがっている小石をながめました。水がその小石をどれもまるくすりへらしていました。ガラスでも、鉄くずでも、石でも、そこらにあるものは、王女のやわらかな手よりももっとやわらかな水のために、かたちをかえられていました。
「波はあきずに巻きかえっている。それで堅いものでもいつかすべっこくなる。わたしもそのとおりあきずにいつまでもやりましょう。あとからあとからきれいに寄せてくる波よ。おまえにいいことを教えてもらってよ。なんだかいつか、おまえたちのおかげでおにいさまたちのところへつれて行ってもらえるような気がするわ。」
うちよせられた海草の上に、白いはくちょうの羽根が十一枚のこっていました。それをエリ
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