た。
こうしてこの太子《たいし》のお力《ちから》で、いろいろの邪魔《じゃま》を払《はら》って、仏《ほとけ》さまのお教《おし》えがずんずんひろまるようになりました。摂津《せっつ》の大阪《おおさか》にある四天王寺《してんのうじ》、大和《やまと》の奈良《なら》に近《ちか》い法隆寺《ほうりゅうじ》などは、みな太子《たいし》のお建《た》てになった古《ふる》い古《ふる》いお寺《てら》でございます。
三
太子《たいし》のお徳《とく》がだんだん高《たか》くなるにつれて、いろいろ不思議《ふしぎ》な事《こと》がありました。ある時《とき》甲斐《かい》の国《くに》から四|足《そく》の白《しろ》い、真《ま》っ黒《くろ》な小馬《こうま》を一|匹《ぴき》朝廷《ちょうてい》に献上《けんじょう》いたしました。太子《たいし》はこの馬《うま》を御覧《ごらん》になると、たいそうお喜《よろこ》びになって、
「この馬《うま》に乗《の》って国中《くにじゅう》を一《ひと》めぐりして来《こ》よう。」
とおっしゃって、調使丸《ちょうしまる》という召使《めしつか》いの小舎人《ことねり》をくらの後《うし》ろに乗《の》せた
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