夢占
楠山正雄
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)摂津国《せっつのくに》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)一|匹《ぴき》
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一
むかし、摂津国《せっつのくに》の刀我野《とがの》という所《ところ》に、一|匹《ぴき》の牡鹿《おじか》が住《す》んでいました。この牡鹿《おじか》には二|匹《ひき》仲《なか》のいい牝鹿《めじか》があって、一|匹《ぴき》の牝鹿《めじか》は摂津国《せっつのくに》の夢野《ゆめの》に住《す》んでいました。もう一|匹《ぴき》の牝鹿《めじか》は、海《うみ》を一つへだてた淡路国《あわじのくに》の野島《のじま》に住《す》んでいました。牡鹿《おじか》はこの二|匹《ひき》の牝鹿《めじか》の間《あいだ》を始終《しじゅう》行ったり来《き》たりしていました。
けれども牡鹿《おじか》は摂津《せっつ》の牝鹿《めじか》よりも、淡路《あわじ》の牝鹿《めじか》の方《ほう》を、よけい好《す》いていました。そしていつも淡路《あわじ》の方《ほう》へ行って遊《あそ》んでいることが多《おお》いので、夢野《ゆめの》の牝鹿《めじか》はさびしが
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