うふく》ぬがせて おいだすばかり。』
こりゃたまらぬと ぱちくり眼《まなこ》、
市長さん議員さん みな青いかお。
なんとかうまい 智慧《ちえ》ふんべつを、
しぼり出さねば こりゃなるまいと、
さっそくひらく 大|協議会《きょうぎかい》。
つくえのまわりに しかつめらしく、
眉《まゆ》をひそめて ならんでみたが、
どうにもこうにも そもはじめから、
ないない智慧《ちえ》が 出るはずはない、
ずんずんたつのは 時ばかり。
頭かきかき 市長のいうにゃ、
『でんでんででむしではあるまいし、
智慧だせだせと せめつけられても、
無い智慧《ちえ》出されぬ 面目《めんぼく》ござらぬ、
にげこむねずみの 穴《あな》ほしや。』[#「。』」は底本では「。」]
ふいに扉《と》口で こっとりことり、
そりゃまたねずみだ 胸どっきどき、
しょぼしょぼ眼《まなこ》に きょろきょろ眼《まなこ》、
客とわかって やれやれ安心、
『おはいんなさい』と 皆大いばり。
入《はい》って来たのは こりゃまあなんと、
世にもふしぎな ようすの男。
赤と黄《き》いろの だんだらまだら、
奇妙《きみょう》な形の マントをひ
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