んはこう言《い》って、さっそくくず屋《や》を呼《よ》ばせました。
くず屋《や》は和尚《おしょう》さんの出《だ》した茶《ちゃ》がまを手《て》に取《と》って、なでてみたり、たたいてみたり、底《そこ》をかえしてみたりしたあとで、
「これはけっこうな品物《しなもの》です。」
と言《い》って、茶《ちゃ》がまを買《か》って、くずかごの中に入《い》れて持《も》って行きました。
二
茶《ちゃ》がまを買《か》ったくず屋《や》は、うちへ帰《かえ》ってもまだにこにこして、
「これはこのごろにない掘《ほ》り出《だ》しものだ。どうかして道具《どうぐ》ずきなお金持《かねも》ちをつかまえて、いい価《ね》に売《う》らなければならない。」
こう独《ひと》り言《ごと》を言《い》いながら、その晩《ばん》はだいじそうに茶《ちゃ》がまをまくら元《もと》に飾《かざ》って、ぐっすり寝《ね》ました。すると真夜中《まよなか》すぎになって、どこかで、
「もしもしくず屋《や》さん、くず屋《や》さん。」
と呼《よ》ぶ声《こえ》がしました。はっとして目をさましますと、まくら元《もと》にさっきの茶《ちゃ》がまがいつの間《
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