った。」
和尚《おしょう》さんにひどくしかられて、小僧《こぞう》さんたちはしょげて、ぶつぶつ口こごとを言《い》いながら引《ひ》っ込《こ》んでいきました。
そのあくる日|和尚《おしょう》さんは、
「せっかく茶《ちゃ》がまを買《か》って来《き》て、ながめてばかりいてもつまらない。今日《きょう》はひとつ使《つか》いだめしをしてやろう。」
と言《い》って、茶《ちゃ》がまに水をくみ入《い》れました。すると小さな茶《ちゃ》がまのくせに、いきなり手《て》おけに一ぱいの水をがぶりと飲《の》んでしまいました。
和尚《おしょう》さんは少《すこ》し「へんだ。」と思《おも》いましたが、ほかに変《か》わったこともないので、安心《あんしん》してまた水を入《い》れて、いろりにかけました。すると、しばらくしてお尻《しり》があたたまってくると、茶《ちゃ》がまはだしぬけに、「あつい。」と言《い》って、いろりの外《そと》へとび出《だ》しました。おやと思《おも》う間《ま》にたぬきの頭《あたま》が出て、四|本《ほん》の足《あし》が出て、太《ふと》いしっぽがはえて、のこのことおざしきの中を歩《ある》き出《だ》しましたから
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