茶《ちゃ》がまのおかげでいつまでもお金《かね》もうけをしていても際限《さいげん》のないことだから、ここらで休《やす》ませてやりましょう。」と考《かんが》えました。そこである日|文福《ぶんぶく》茶《ちゃ》がまを呼《よ》んで、
「お前《まえ》をこれまで随分《ずいぶん》働《はたら》かせるだけ働《はたら》かして、おかげでわたしも大《たい》したお金持《かねも》ちになった。人間《にんげん》の欲《よく》には限《かぎ》りがないといいながら、そうそう欲《よく》ばるのは悪《わる》いことだから、今日《きょう》限《かぎ》りお前《まえ》を見世物《みせもの》に出《だ》すことはやめて、もとのとおり茂林寺《もりんじ》に納《おさ》めることにしよう。その代《か》わりこんどは和尚《おしょう》さんに頼《たの》んで、ただの茶《ちゃ》がまのようにいろりにかけて、火あぶりになんぞしないようにして、大切《たいせつ》にお寺《てら》の宝物《ほうもつ》にして、錦《にしき》の布団《ふとん》にのせて、しごく安楽《あんらく》な御隠居《ごいんきょ》の身分《みぶん》にして上《あ》げるがどうだね。」
こう言《い》いますと、文福《ぶんぶく》茶《ちゃ》
前へ
次へ
全14ページ中12ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
楠山 正雄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング