お見《み》せ。」
といいました。
山姥《やまうば》が戸《と》のすきまから手を出《だ》しましたから、子供《こども》たちがさわってみますと、それは松《まつ》の木のように節《ふし》くれだって、がさがさしていました。子供《こども》たちはまた、
「いいえ。あけない、あけない。おかあさんはもっとつるつるして柔《やわ》らかな手をしている。お前《まえ》は山姥《やまうば》にちがいない。」
といいました。
そこで山姥《やまうば》は裏《うら》の畑《はたけ》へ行って、芋《いも》がらを取《と》って、手の先《さき》にぐるぐる巻《ま》きつけました。
そして山姥《やまうば》は三|度《ど》めにうちの前《まえ》に立《た》って、とんとんと戸《と》をたたいて、
「子供《こども》たちや、あけておくれ。おかあさんだよ。みんなのすきなおみやげを、たんと買《か》って来《き》たからね。」
といいますと、子供《こども》たちは中から、
「じゃあ、手をお見《み》せ。ほんとうにおかあさんだか、どうだか、見《み》てやるから。」
といいました。
山姥《やまうば》はまた戸《と》のすきまから手を出《だ》しました。こんどは手がつるつるし
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