、そのあとから、蛙《かえる》がぴょんぴょん元気《げんき》よくとんで来《き》ました。蛙《かえる》はずんずん蛇《へび》を追《お》いこして、
「蛇《へび》さん、ずいぶんのろまだなあ。おいらのしりでもしゃぶるがいい。」
 と悪口《わるぐち》をいいながら、またずんずん行《い》ってしまいました。蛇《へび》はくやしくってたまりませんけれども、どうにもならないので、だれよりもいちばんあとにおくれて、のろのろついて行きました。蛇《へび》が神《かみ》さまの前《まえ》に出た時《とき》は、大抵《たいてい》の生《い》き物《もの》が、それぞれ食《た》べ物《もの》を頂《いただ》いて、にこにこしながら、帰《かえ》って行くところでした。神《かみ》さまは、蛇《へび》がおくれて来《き》たのをごらんになって、
「どうしてそんなに遅《おそ》くなったか。」
 とお聞《き》きになりました。そこで蛇《へび》は、おなかがへって、どうにも早《はや》く歩《ある》けなかったこと、途中《とちゅう》で蛙《かえる》があとから追《お》いついて来《き》て、おしりでもしゃぶれといったことを残《のこ》らず訴《うった》えました。すると神《かみ》さまは、大《
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