し》があるのです。
 むかし、三|人《にん》の男の子を持《も》ったおかあさんがありました。総領《そうりょう》が太郎《たろう》さん、二ばんめが次郎《じろう》さん、いちばん末《すえ》っ子《こ》のごく小さいのが、三郎《さぶろう》さんです。
 ある日、おかあさんは、町《まち》まで買《か》い物《もの》に出かけました。出がけにおかあさんは、三|人《にん》の子供《こども》を呼《よ》んで、
「おかあさんは町《まち》まで買《か》い物《もの》に行って来《き》ます。じき帰《かえ》って来《き》ますから、三|人《にん》で仲《なか》よくお留守番《るすばん》をするのですよ。戸《と》をしっかりしめて、みんなでおとなしくうちの中に入《はい》っておいでなさい。ひょっとすると悪《わる》い山姥《やまうば》が、おかあさんの姿《すがた》に化《ば》けて、お前《まえ》たちをだましに来《こ》ないものでもないから、よく気《き》をつけて、けっして戸《と》をあけてはいけません。山姥《やまうば》はいくら上手《じょうず》に化《ば》けても、声《こえ》が、しゃがれたがあがあ声《ごえ》で、手足《てあし》も、松《まつ》の木のようにがさがさした、真《ま》
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