だいどころ》の隅《すみ》に食《た》べ物《もの》をあさりに出ると、暗《くら》やみに目が光《ひか》っていて、どんな目にあうか分《わ》からなくなりました。
二
「これではとてもやりきれない。かつえ死《じに》に死《し》ぬほかなくなる。今《いま》のうちにどうかして猫《ねこ》をふせぐ相談《そうだん》をしなければならない。」というので、ある晩《ばん》ねずみ仲間《なかま》が残《のこ》らずお寺《てら》の本堂《ほんどう》の縁《えん》の下に集《あつ》まって、会議《かいぎ》を開《ひら》きました。
その時《とき》、中でいちばん年《とし》を取《と》ったごま塩《しお》ねずみが、一|段《だん》高《たか》い段《だん》の上につっ立《た》ち上《あ》がって、
「みなさん、じつに情《なさ》けない世《よ》の中になりました。元来《がんらい》猫《ねこ》はあわび貝《かい》の中のかつ節飯《ぶしめし》か汁《しる》かけ飯《めし》を食《た》べて生《い》きていればいいはずのものであるのに、われわれを取《と》って食《た》べるというのは何事《なにごと》でしょう。このまますてておけば、今《いま》にこの世《よ》の中にねずみの種《たね》は
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