》きました。けれどもべつだん変《か》わったいい知恵《ちえ》も出ません。
「もうこの上|和尚《おしょう》さんに頼《たの》んでみたところで、とてもむだだから、今夜《こんや》みんなでそろって和尚《おしょう》さんの所《ところ》へ行くことはよそう。そして夜《よ》の明《あ》けないうちに、いよいよ都落《みやこお》ちをして、田舎《いなか》へ行くことにしよう。」
だれが言《い》い出《だ》すともなく、年《とし》を取《と》ったねずみたちの間《あいだ》にはこの話《はなし》がまとまって、みんなはあわてて夜逃《よに》げのしたくにかかりました。
するとまた元気《げんき》のいい若《わか》ねずみたちが、くやしがって、
「まあ待《ま》って下《くだ》さい。われわれはただの一|度《ど》も戦争《せんそう》らしい戦争《せんそう》をしないで、むざむざ都《みやこ》を敵《てき》に明《あ》け渡《わた》して田舎《いなか》へ逃《に》げるというのは、いかにもふがいない話《はなし》ではありませんか。それでは命《いのち》だけはぶじに助《たす》かっても、この後《のち》長《なが》く獣仲間《けものなかま》の笑《わら》われものになって、まんぞくなつき
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