《なが》めていました。そして、
「しかしどうも、この中には悪《わる》いものが入《はい》っているようです。」
といいました。すると御堂殿《みどうどの》は解脱寺《げだつじ》の坊《ぼう》さんに向《む》かって、
「ではお上人《しょうにん》、一つ加持《かじ》をしてみて下《くだ》さい。」
といいました。坊《ぼう》さんが承知《しょうち》して珠数《じゅず》をつまぐりながら、何《なに》か祈《いの》りはじめますと、不思議《ふしぎ》にもうりがむくむくと動《うご》き出《だ》しました。さてこそ怪《あや》しいうりだというので、お医者《いしゃ》の忠明《ただあきら》が針療治《はりりょうじ》に使《つか》う針《はり》を出《だ》して、
「どれ、わたしが止《と》めてやりましょう。」
といいながら、うりの胴中《どうなか》に二所《ふたところ》まで針《はり》を打《う》ちますと、なるほどそのままうりは動《うご》かなくなってしまいました。そこで一ばんおしまいに義家《よしいえ》が、短刀《たんとう》をぬいて、
「ではわたしが割《わ》って見《み》ましょう。」
といいながらうりを割《わ》りますと、中には案《あん》の定《じょう》小蛇《こ
前へ
次へ
全18ページ中16ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
楠山 正雄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング