や》がつづくという風《ふう》に、味方《みかた》の死骸《しがい》を踏《ふ》み越《こ》え、踏《ふ》み越《こ》え、どこまでも、どこまでも進《すす》んで来《き》ます。
ですから田村麻呂《たむらまろ》の軍勢《ぐんぜい》も、勇気《ゆうき》は少《すこ》しも衰《おとろ》えませんが、さしつめさしつめ矢《や》を射《い》るうちに敵《てき》の数《かず》はいよいよふえるばかりで、矢種《やだね》の方《ほう》がとうに尽《つ》きてきました。いくら気《き》ばかりあせっても、矢種《やだね》がなくっては戦《いくさ》はできません。残念《ざんねん》ながら味方《みかた》が負《ま》けいくさかと田村麻呂《たむらまろ》も歯《は》ぎしりをしてくやしがりました。するといつどこから出て来《き》たか、大《おお》きなひげの生《は》えた男《おとこ》と、かわいらしい小さな坊《ぼう》さんが出て来《き》て、どんどん雨《あめ》のように射出《いだ》す敵《てき》の矢《や》の中をくぐりくぐり、平気《へいき》な顔《かお》をして敵《てき》の勢《せい》の中へ歩《ある》いて行って、身方《みかた》の射出《いだ》した矢《や》をせっせと拾《ひろ》っては、こちらへ運《はこ》
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