あさんは、お庭《にわ》のまん中に、えんやら、えんやら、大きな臼《うす》を持《も》ち出《だ》して、おじいさんがきねを取《と》ると、おばあさんはこねどりをして、
「ぺんたらこっこ、ぺんたらこっこ。ぺんたらこっこ、ぺんたらこっこ。」
 と、おべんとうのきびだんごをつきはじめました。
 きびだんごがうまそうにでき上《あ》がると、桃太郎《ももたろう》のしたくもすっかりでき上《あ》がりました。
 桃太郎《ももたろう》はお侍《さむらい》の着《き》るような陣羽織《じんばおり》を着《き》て、刀《かたな》を腰《こし》にさして、きびだんごの袋《ふくろ》をぶら下《さ》げました。そして桃《もも》の絵《え》のかいてある軍扇《ぐんせん》を手に持《も》って、
「ではおとうさん、おかあさん、行ってまいります。」
 と言《い》って、ていねいに頭《あたま》を下《さ》げました。
「じゃあ、りっぱに鬼《おに》を退治《たいじ》してくるがいい。」
 とおじいさんは言《い》いました。
「気《き》をつけて、けがをしないようにおしよ。」
 とおばあさんも言《い》いました。
「なに、大丈夫《だいじょうぶ》です、日本一《にっぽんいち》のきび
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