ろ》がある。悪《わる》い鬼《おに》どもが、いかめしいくろがねのお城《しろ》の中に住《す》んで、ほうぼうの国《くに》からかすめ取《と》った貴《とうと》い宝物《たからもの》を守《まも》っている。」
 と言《い》いました。
 桃太郎《ももたろう》はこの話《はなし》をきくと、その鬼《おに》が島《しま》へ行ってみたくって、もう居《い》ても立《た》ってもいられなくなりました。そこでうちへ帰《かえ》るとさっそく、おじいさんの前《まえ》へ出て、
「どうぞ、わたくしにしばらくおひまを下《くだ》さい。」
 と言《い》いました。
 おじいさんはびっくりして、
「お前《まえ》どこへ行くのだ。」
 と聞《き》きました。
「鬼《おに》が島《しま》へ鬼《おに》せいばつに行こうと思《おも》います。」
 と桃太郎《ももたろう》はこたえました。
「ほう、それはいさましいことだ。じゃあ行っておいで。」
 とおじいさんは言《い》いました。
「まあ、そんな遠方《えんぽう》へ行くのでは、さぞおなかがおすきだろう。よしよし、おべんとうをこしらえて上《あ》げましょう。」
 とおばあさんも言《い》いました。
 そこで、おじいさんとおば
前へ 次へ
全18ページ中6ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
楠山 正雄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング